2017/11/15 コラム

踏んだり・蹴ったり・ひっぱたいたり… driver 1983年 8-5号/10-5号から

「かわいがり」とか「シゴキ」とか……いや〜こわいですね〜。そんな ちまたでNOWな話題でははく、ここでは1983(昭和58)年6月に発売されたFFライトウェイトスポーツ「ホンダ バラード・スポーツCR-X」に採用された新技術のひと昔話を。2代目バラードの派生車として誕生した初代CR-X。その外板の一部には、ABS樹脂とポリカーボネートに衝撃性を向上させる新成分を合成した「ポリマーアロイ」と超フレキシブルな塗料を組み合わせた「H.P. ALLOY」(エイチ・ピー・アロイ)が使われていました。
●「H.P. ALLOY」の採用部位はフロント先端/ヘッドライトフラップ/フロントフェンダー、およびドアロア/サイドシルのガーニッシュ。前後バンパーとボディ下半分には同じく樹脂(ポリプロピレン)を使った「H.P. BLEND」(エイチ・ピー・ブレンド)とした
スチールから樹脂への外板の置換。そのメリットでもっとも大きいのはやはり軽量化で、OHCエンジンの初期型「1.5i」の車重は、今の軽ワゴンよりも軽い800kg。切れ味鋭い走りを実現するために欠かせない、重要なファクターでした。翌年に追加された「Si」には、135馬力/15.5kgmを発揮するDOHCエンジンを組み合わせ、のちにAE86レビン/トレノやMR2(AW11)との「ZC vs 4AG」対決へと発展。もちろんサビないことも特徴で、軽度のへこみなら元に戻る柔軟性も併せ持ち、成形の自由度が高い、デザイン上のメリットもありました。
●キャッチフレーズは「デュエットクルーザー」。翌84年10月には、S800の生産終了以来14年ぶりの復活となる1.6L・DOHC(ZC型)エンジンを積む「Si」(写真左)も追加
そんなCR-X。本誌83年の10月5日号では、「CR-Xの“新素材”はこんなシゴキにも耐えた!」と題した実験企画を展開。これは、前述の新素材を採用したフロントバンパーとフェンダーに、まさに“シゴキ”テストを行いその実力を確かめようというものでした。
●34年前のとある出来事(事件?)
その内容は、アメフトのヘルメットをかぶっての「ぶちかまし」(頭突き)に始まり、「手で曲げる」、「ハンマーで引っぱたく」、「脚立から飛び下りる」、「蹴る」、「火であぶる」、「金属バットで打つ」とやりたい放題。
●「とぅ!」

●「えいっ!」

●「かきーん!」
してその結果は、フェンダーはひっかき傷と2つに折り曲げた際の小さな亀裂がついただけ。「CR-Xの新素材は立派でした!」と結ばれてます(なんじゃそりゃ)。なお、実験で使ったサンプルはもちろん編集部で購入。ちなみにフェンダーは1枚・1万5000円、フロントバンパーが1万3000円(どちらも当時価格)でした。
●1983年8月5日号「緊急試乗 バラード・スポーツCR-X」から
もちろん、ちゃんとした試乗取材もしていますので……。ちなみに初代CR-Xは「シビック/バラード」として、第4回 1983-1984 日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞しています。

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